• ホーム>
  • IFAが扉を開く「資産形成」 新時代

特集IFAが扉を開く「資産形成」 新時代

お金に関する身近なアドバイザーとして注目が高まっているIFA(Independent Financial Advisor)。
証券会社や銀行などの特定の金融機関に所属するのではなく
独立した立場で中立的なアドバイスを行うIFAが日本の資産運用を大きく変えようとしている。
今なぜIFAの存在感が増しているのか、その背景と最新事情を探ってみたい。

顧客と常に並走しながら大きな安心感をもたらすIFAが日本に資産運用を根付かせる(1)

「IFA」という言葉を、これまで聞いたことがないという人はいまだ少なくないだろう。しかし、IFAへの注目が確実に高まっているのも間違いなく、背景には多くの要因があるものの、そのキーワードの1つが「フィデューシャリー・デューティー」である。

今なぜIFAが求められているのか、フィデューシャリー・デューティーとはそもそも何なのか。さまざまな角度からIFAの現状とその可能性を探ってみたい。

「IFA」という言葉が、徐々にではあるもののメディアなどで取り上げられるようになってきた。そもそもIFAとは“Independent Financial Advisor”の略称で、独立系ファイナンシャルアドバイザーと呼ばれることが多い。証券会社や銀行といった特定の金融機関に属さず、文字通り、独立した立場で金融商品の購入などに関するアドバイスを行う者のことを指す。

一時は停滞したIFAチャネルに高い志を持った新世代が登場

特に米国では独立系のアドバイザーが広く普及していることもあり、近年、日本でも急速に注目が高まっているが、日本のIFAの歴史は意外に古い。2001年6月に当時の小泉内閣が発表した「骨太の方針」で、「貯蓄から投資へ」のスローガンが初めて掲げられ、証券市場の活性化のためにさまざまな改革が行われてきた。その1つが販売チャネルの多様化であり、金融商品仲介業(当初は証券仲介業)制度が2004年4月に導入されることになった。

金融商品仲介業を行う「金融商品仲介業者」は、内閣総理大臣の登録を受けなければならないが、この登録は法人でも個人でも可能。証券会社などの「金融商品取引業者」の委託を受け、投資信託や株式などの金融商品の提案(媒介)、各種アドバイスなどを行うが、そのためには金融商品取引業者と業務委託契約を結ぶ必要がある。ただし、顧客と実際に契約を結ぶのは、あくまで証券会社などの金融商品取引業者(図1参照)。この金融商品仲介業者のうち、既存の金融機関に属さない法人、個人がIFAと呼ばれる

【図1】金融商品仲介業の仕組み

【図1】金融商品仲介業の仕組み

金融商品仲介業制度が導入されたことにより、複数の証券会社がこのビジネスに参入。証券会社などから独立したIFAはもちろん、保険代理店や会計士事務所など、これまでリスク商品にはほとんど関わってこなかった新たなチャネルを活用するビジネスモデルも現れた。

当初は順調に推移していたものの、転機が訪れたのは2008年9月のリーマン・ショックだ。世界的に金融市場が下落したことにより、当然のことながら多くのIFAの顧客も損失を抱えることに。特に金融商品の販売に慣れていない人たちは「やはり下落の理由を説明できず、経験の不足もあって耐えられなかった」と、当時をよく知る今も現役のあるIFAは振り返る。以降は世界的に金融市場が低迷したこともあり、IFAチャネルも伸び悩み、ついには大手証券会社の中で唯一このビジネスに積極的だったSMBC日興証券も2014年に撤退を決定することになる。

IFAビジネスは冬の時代を迎えるかと思われたものの、ちょうどこのころから、新たな風が吹き始める。大手・中堅クラスの証券会社を退職し、高い志を持ってIFAへと転身する人たちが急速に増えてきたのだ。もちろん、従来もそうしたIFAは存在したが、一方で、「歩合でとにかく稼ぎたい」といった理由でIFAになるケースも少なくなかった。そうしたIFAの提案スタイルは、顧客に次から次へと新しい商品への乗り換えを勧めて販売手数料を稼ぐ、いわゆる「回転売買」が中心となる。

しかし、新世代のIFAたちは、そうした回転売買を真っ向から否定する。「高いノルマに加え、15分ごとに結果の進捗を詰められる」(証券会社出身のIFA)ような従来の証券営業のスタイルに疑問を投げかけ、「顧客本位」のビジネスを模索するために独立したIFAが確実に増えてきたのだ。

それはまた、時代の要請でもあったのかもしれない。

次ぺージ

IFAにとっては追い風となったフィデューシャリー・デューティー