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特別寄稿多様性によって投資家の裾野を広げた米国の独立アドバイザーの役割

米国における投資商品の対面販売の担い手は、 すでに独立アドバイザーが全体の4割を占めているという。
そもそも独立チャネルはどのような経緯でここまで発展し、 投資家にどのようなメリットをもたらしたのか。
長年、米国の独立アドバイザーを調査研究してきたNRIアメリカの吉永高士氏に解説してもらった。

NRIアメリカ
金融研究室長
吉永 高士
Takashi Yoshinaga

NRIアメリカ金融研究室長 吉永 高士氏

(1)従業員アドバイザーが減少する中、独立アドバイザーは微減にとどまる

米国には約31万人のリテール対面投資商品販売員がいる(セルリ・アソシエイツ調べ。2015年末時点。以下同)。このうち、証券会社や銀行系・保険会社系グループに所属する従業員アドバイザーは、全体の約6割を占める(注:米国では銀行系や保険会社系の対面店舗で投資商品を販売する販売員は関連会社、または全く資本関係のない証券会社に所属するのが一般的)。

これに対し、従業員ではない独立の販売員を束ねる証券会社はインディペンデント・ ブローカー・ ディーラー(IBD)と呼ばれ、そこに所属する独立アドバイザー(インディペンデント・コントラクター)が2割強を占める(なお、欧州や日本における「IFA」という呼称は米国では一般に使われていない)。

他に、ラップを中心とする一任運用を主体にリテール対面販売を行う中小の登録投資顧問業者(レジスタード・インベストメント・アドバイザー =RIA)が約1万7000社あり、それらに所属するアドバイザーが対面販売員の2割弱を構成する(うち半分弱はIBD所属を兼務)。米国ではIBDとRIAを広義の独立チャネルとみなし、それに属する独立アドバイザーが計約4割を占める。

米国の対面投資商品販売員数は今世紀に入って以後おしなべて漸減傾向が続いており、直近10年間を見ても1割強の減少となっている。特に従業員アドバイザー数については同15%減となるなど、独立アドバイザー数が同期間に3.5%減にとどまっていることに比べても、減少傾向が顕著である。

米国のリテール対面投資商品販売員数の推移グラフ

出所:セルリ・アソシエイツ

この背景には、従業員チャネルでは①リーマン・ショック後の金融業界全般の収益性押下げ傾向に対応した経営体質強化の一環として、大手・中堅証券会社等(メガ銀行系含む)を中心に対面販売員の少数精鋭主義志向(販売員1人当りの純営業収益増の牽引により全体の純営業収益と純利益の最大化を図る)を強めていることに加え、②米国労働省令による販社向けフィデューシャリー・デューティー強化に伴う業界全体の事業採算悪化や賠償責任リスク増大懸念のなかで対面証券事業の縮小や撤退の動きがあることも影響している。

②のフィデューシャリー・デューティー強化については、IBDを中心とする独立アドバイザーにも同様の事業抑制的なインパクトがある。しかし、従業員チャネル側が少数精鋭主義によって販売員数の絞り込みを行っていることの反動として、IBDやRIA等が退社した従業員アドバイザーの受け皿となり、独立アドバイザーとして対面顧客へのアドバイス提供を続けている者も少なからずおり、これが独立チャネル所属のアドバイザー比率が高まる傾向にも寄与している。

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(2)米国ではチャネルにかかわらず「ゴールベース」のスタイルは共通