特別寄稿多様性によって投資家の裾野を広げた米国の独立アドバイザーの役割

(2)米国ではチャネルにかかわらず「ゴールベース」のスタイルは共通

日本の金融業界や関係者の方からは、しばしば独立アドバイザーと従業員アドバイザーの違いは何かという質問をいただくことがある。しかし、営業スタイルやプロセス、サービス等については両者の間に基本的な違いはない。その最大の理由はIBDやRIAで勤務し、かつ一定以上の事業的成功を達成しているアドバイザーの多くは、もともと従業員アドバイザーとして一定の経験を積み、その後に独立アドバイザーになった人たちだからである。

米国ではチャネルにかかわらず「ゴールベース」のスタイルは共通米国で90年代半ばに登場し、現在は最も典型的となった対面投資商品販売の営業スタイルは「ゴールベース資産管理」(goals-based wealth management)と呼ばれるものである。これは①顧客が自身や家族、社会などのために無意識のうちに抱く「ゴール」(目標や課題やニーズの総称)をアドバイザーが話を聞くスキルを発揮して切り出し、②その実現に必要な期待リターン/リスクにおける中長期的資産配分比率とともにプランニングを行い、③具体的な投資実行手段(基本的にはラップによる一任運用)を提案し、④継続的なレビューによりゴールへの進捗確認や追加ゴールの切り出しを行いながら、ゴール実現までアドバイザーが伴走し続ける循環的プロセスである。

ゴールベース・アプローチが米国で広範に普及したのは、各社毎年1000~2000人規模のアドバイザー候補生を採用していた大手対面証券会社が新人研修や継続研修に組み込んでいったことが大きい。それを見た中堅規模以下の証券会社や銀行系・保険会社系チャネルやIBDらがそれぞれに追随的な研修プログラムやツールを導入したが、並行して、これらの研修を受け実践していた従業員アドバイザーの一部がIBDにも流れていく中で2000年代に一気に広がっていった。この過程で、「次に儲かりそうなものは何か」を提案する伝統的な投機的投資スタイルは対面営業では少数派になった。

次ぺージ

(3)多様な販売員が誕生したことで
対面アドバイスの受け手も拡大