特別寄稿多様性によって投資家の裾野を広げた米国の独立アドバイザーの役割

(3)多様な販売員が誕生したことで対面アドバイスの受け手も拡大

一般に大手・中堅証券会社の従業員アドバイザーがIBD所属の独立アドバイザーに転ずる場合、大多数は従業員アドバイザーの平均よりも担当預り資産や年間に獲得する純営業収益が小さい人々によって占められている。

大手証券会社の場合、最近まで年間の純営業収益目標下限が3年目で25万ドル、9年目で50万ドル程度に設定され、現在の1人当たり純営業収益は100万ドルを超えている。これに対してIBDでは、独立アドバイザーの年間純営業収益目標下限が10万ドル強に設定され、1人当たり純営業収益も30万ドル程度である。米国大手証券会社ではまた、対面対応の顧客下限として25万ドル前後の最低預り資産を設定しているが、独立アドバイザーの場合、顧客基準は個々に自分で決めることができる。

多様な販売員が誕生したことで対面アドバイスの受け手も拡大筆者は米国の独立アドバイザーについても20年近く調査研究テーマの1つとしてきたが、上記のような従業員アドバイザーと独立アドバイザーの違いがもたらす効用としては、販社間の競争促進という側面よりも、むしろカルチャーや営業収益目標等の面で従業員チャネルにはうまくフィットしなかった人々の受け皿であることも含めて、独立アドバイザーという仕組みが投資商品販売員の多様性と厚みを大きく拡充していることがより重要なことと感じている。

これにより、究極的には対面アドバイス(米国の場合はゴールベース)を受けることのできる投資家の裾野が着実に押し広げられているからだが、同様の構図は「貯蓄から資産形成へ」を実効的に推進したい日本においても有用な視座としていけないだろうか。

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