MESSAGE 10年の歴史を礎に
IFAとフィーモデルの成長を支えていきたい 

楽天証券 代表取締役社長
楽天証券 代表取締役社長 楠 雄治

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当社がIFA事業を初めて手掛けてから丸10年が経とうとしている。リーマンショック直後の2008年10月から開始したこの事業はおかげさまで、契約IFA数が1000人に迫り、預り資産は3500億円を超えてきた。投資サービスの新しいチャネルとして、IFAは着実にその存在感を増しつつある。

伝統的に証券業界は、お客さまと業者の利益相反で無理やり成り立ってきた業界。資産を増やしたい顧客と、手数料が取れれば儲かる証券会社。高度経済成長期であれば株価も上がり、資産が増える。だからお客さまは喜んで手数料を払っていた。しかし低成長期ではそのロジックは成り立たない。

バブル崩壊、証券不祥事。1999年に始まった手数料自由化とネット証券の台頭。業界の在り方を根底から覆すような動きがそもそもの利益相反を顕在化させた結果、歪な構造だけが残った。本質的には投資「サービス」業であるこの業界が、利益相反状態のまま長続きするわけがない。そうした想いで、純粋なネット証券だった当社はIFA事業を始めた。

ネット証券は安価な手数料を武器に、お客さまの自立した情報獲得と投資判断を前提に成り立っている。IFAは対面が基本だが、証券会社という会社の看板ではなく、独立したアドバイザーとしての個人の看板でお客さまに向き合う。そこでは、お客さまとの継続的かつ長期的な関係構築、ご家族も含めたお付き合い、そして人間としての信頼関係が前提となる。

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先日、あるIFA事業者の主催する「お客様感謝の集い」に参加した。週末のお昼過ぎ、場所は都内の一流ホテル。お客さまは家族でおしゃれをし、ホテルの雰囲気を楽しまれている。コース料理を食べながら、担当者がお客さまに日頃のお礼を述べている。知らないお客さま同士が同じテーブルを囲み、にこやかに談笑している。このようなイベントは、米国では珍しいものではない。アドバイザーとクライアントは仲間であり、運命共同体だからだ。これまで、日本の証券会社がこのようなイベントをできただろうか?

お客さまの立場に立って資産運用の相談に乗る。投資のプロとして徹底的に考え抜いた提案を行い、継続してフォローし、良い時も悪い時も逃げずに誠心誠意お客さまに向き合う。そして、お客さまからの信頼を得る。そうした結果が「お客様感謝の集い」の様子に全て表れていると感じる。しかしながら、この業界の将来を考えるともう1つ大きな課題が残っている。それは、IFAの収入の在り方だ。

IFAの収入のほとんどは手数料から来る。これだとどうしても、お客さまとの利益相反につながるような売買を行うインセンティブが働かないとも限らない。すでに一部のIFA事業者は、手数料モデルからの脱却を進めている。それを支援するため当社はラップサービスを提供しているが、それだけでは助言業登録などが必要になり、ハードルは高い。米国においても手数料モデルと残高フィーモデルは共存しているが、投資一任のRIAとなれば全て残高フィーモデルであり、適切な選択が可能になっている。

お客さまと目指すべきゴールに対する利益相反を真に消していくには、日本においても手数料モデルのみではなく、残高フィーモデルの普及と定着が必要だと考える。お客さまからの預り資産の成長とともにIFAの収入も増える。事業モデルとしてそこを目指していくべきだと確信している。

MESSAGE   10年の歴史を礎にIFAとフィーモデルの成長を支えていきたい 

楽天証券代表取締役社長
楽天証券 代表取締役社長
楠 雄治 
Yuji Kusunoki