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IFA業界事情

IFAビジネスの可能性と課題

(第1回)
資産運用ビジネスの担い手の交代

画像:大原 啓一 氏
日本資産運用基盤グループ
代表取締役社長
大原 啓一 氏

2003年東京大学法学部卒業。2010年London Business School 金融学修士課程修了。野村資本市場研究所・DIAMアセットマネジメント等を経て、2015年8月にマネックス・セゾン・バンガード投資顧問を創業、2017年9月まで同社代表取締役社長。2018年5月に日本資産運用基盤株式会社を創業。

家計による投資運用の重要性

少子高齢化の進展など、我が国の社会構造が大きく変わりつつあるなか、老後の生活資金や万が一の場合の備えを公的保険制度に頼ることは今後ますます困難になることが予想される。自助努力での資産形成やリスク管理がこれまで以上に重要になることは言うまでもないが、生命保険や医療保険等への加入による備えはともかく、投資信託等の金融商品を活用した資産形成・運用が一般的な人生設計に浸透しているとはとても言い難い状況にある。

一方、日本という国の経済全体の成長を考えた場合、少子高齢化で生産年齢人口の減少に歯止めがかからないなか、経済成長のドライバーを労働生産性の向上のみに求めるのは限界があり、これまで蓄積された巨額の家計金融資産を活用することが重要だという問題意識もある。1,800兆円超の家計金融資産の一部が投資資金に移り、年率数%で運用されれば、期待されるGDP押上げ効果は非常に大きなものになる。

生活者および国民経済運営というそれぞれの目線での課題に対し、政府もNISA・つみたてNISAの創設やiDeCo(個人型確定拠出年金)制度の制度拡充など、マクロ的な施策で取り組んでいるが、残念ながら今のところ効果は乏しいと言わざるを得ない。

従来型資産運用サービスの限界

資産運用がなかなか普及しない要因として、ひとつには資産運用という金融機能が本来的に持つ難易度の高さがあると思われる。

主要な金融機能のうち「資金移転(決済)」「資金供与(融資)」については、金融サービスの利用とその資金使用のタイミングが近く、金額もサービス利用時点で概ね固まっていることが一般的という特徴がある。一方、「資産運用」は、実際に資金を使用するのが遠い将来時点であり、その時点の金額も変動することが通常である。一般の生活者にとって独力で利用するにはハードルが高い。

本来であればこのサポートを行うのが金融機関の役割であるが、これまでの金融機関のサービスがこうした顧客生活者のニーズに応えてきたとは思えない。投資信託をはじめとする従来型資産運用サービスの役割を全て否定するつもりはないが、「モノ」としての金融商品の魅力のみを強調するあまり、顧客生活者のニーズが何なのかという検討がおろそかになってきたように思われてならない。

必要とされているのは「将来の資金用途に備えた適切な資産運用」という「コト」であり、期待利回りや運用リスク管理等でいかに優れていようとも、金融商品という「モノ」単体でそのニーズを充足するのは限界がある。

求められる付加価値はコミュニケーションへ

これまで個人向け資産運用ビジネスを主導してきたのは、主に代表的な資産運用サービスである投資信託の開発・提供を担う資産運用会社であった。顧客生活者の本来のニーズに応えていないとはいえ、金融資産ポートフォリオマネジメントという重要部分を担う役割は重要であり、顧客体験価値の大きな割合を占めてきたと言える。

ただ、現在も毎月のように様々な運用会社から新しい投信商品が開発・提供され続けているが、既に存在する数が6,000本以上にもなる現状において、投資信託という商品そのものはコモディティ化しており、もはやそこに高い報酬率を正当化するだけの付加価値はない。つまり、今後の資産運用ビジネスにおいて、資産運用会社の存在感は急速に弱まっていくことが予想される。

このように資産運用ビジネスのバリューチェーンにおける商品レイヤーの付加価値が小さくなるなか、相対的に大きな位置づけを占めるようになるのが、顧客接点でのコミュニケーションになることは間違いない。

期待される今後の資産運用サービス

では、ここでいう顧客接点でのコミュニケーションとは何であろうか。よく勘違いされるのは、数多くある投資信託等の金融商品のなかから、顧客のリスク許容度等に応じた最適な商品を選定し、提案することだというものである。確かに、膨大な数の選択肢を前に戸惑う顧客をサポートすることに付加価値が無いとは決して言えず、資産運用において重要なプロセスのひとつであることは間違いない。

ただ、前述の「将来の資金用途に備えた適切な資産運用」という顧客のニーズの本質である「コト」を考えた場合、そのような商品選定サポートは十分なコミュニケーションであるとは言えない。そこには資産計画の策定という重要なプロセスが欠けているのである。

つまり、顧客のニーズを本質的に満たす、あるべきサービスは、「顧客のライフステージに応じた最適な資産計画の策定とその実行支援」であり、投資信託等の商品の選定やその提供は実行支援の一部でしかない。こうした総合的なファイナンシャル・アドバイザー的機能を果たせる金融機関・事業者こそが今後の資産運用ビジネスの担い手となることが予想され、そのひとつの業態としてのIFAに寄せられる期待は大きい。

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