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IFA業界事情

成功するIFAのセルフマネジメント

米田メソッド(第4回)
客観的に自分を評価する

画像:米田 隆 氏
早稲田大学 商学学術院
ビジネス・ファイナンス研究センター
上級研究員(研究院教授)
米田 隆 氏

1981年早稲田大学法学部卒業後1981年(株)日本興業銀行入行
1991年GLA設立、代表取締役就任、1999年PWM日本証券株式(旧LPL日本証券)会社代表取締役、2007年GLA代表復帰
公益社団法人日本証券アナリスト協会プライベートバンキング教育委員会委員長
2017年12月より常勤にて現職就任

1. 昨日の自分と競争する

今回は、あなたの能力を客観的に評価するということについて考えてみたい。

私は、生涯発達心理学の研究にある「結晶性の知能」という考え方がとても気に入っている。生涯発達心理学では、人間の知能を大きく二つに分け、数学者や建築家、外科医などが必要な空間認識のような知能のことを「流動性の知能」と呼び、言語や常識による推論というのは「結晶性の知能」と呼んでいる。「流動性の知能」は人生の比較的早い時期にピークを迎えるが、「結晶性の知能」は現役で使い続けている限り、緩やかに伸び続けることが分かっている。こうした知見から、米国では年齢による雇用差別は法律で禁止されている。私自身の学びを振り返っても、年を重ねるごとにものごとへの理解は深まり、今や趣味の世界となっている私の英語学習も長年の蓄積の結果、語彙は毎年増え続けている。

高校進学の際、私は病気や英国への留学もあり、同世代から2年遅れてしまった。この時私の心を支えてくれたのは、『大切なのは他人との競争ではなく昨日の自分と競争し、自分らしく生きていくことだ』という考え方だった。10代の後半で同世代から2年遅れ、他人との競争を自己に課することはあまりに大きな心の負担だった。このことが結果、私を生涯学習に駆り立てることになった。
後に心理学を学び、この「結晶性の知能」という考え方に出会い、昨日の自分と競争する学びの姿勢は学問的にも正しいことを知ることになった。人生100歳時代と言われるようになり、今やリカレント・ラーニングは生き抜くための条件となりつつある。私自身、学びを続け、60歳を過ぎて母校で常勤の大学教授になり、他のシニアの方々やこれからシニアを迎える後輩のためロールモデルとして貢献したいと考えている。

2. 達人研究

アメリカの心理学の分野のひとつに、Expert studiesというのがある。日本語に訳せば「達人研究」と表現できるかもしれない。この分野の第一人者であるフロリダ州立大学のアンダース・エリクソン教授はあらゆる達人に共通した訓練法があることを科学的に明らかにし、それを意図的訓練(Deliberate practice)と呼んでいる。私自身このエリクソンの考え方に基づいて書かれた米国の書籍を日本で翻訳している。(究極の鍛錬、サンマーク出版)意図的訓練においては次の条件が必要となる。

1) 専門家による体系的な訓練メニュー
2) できないことを何度も繰り返す
3) できないことに関するフィードバックを訓練直後に受ける
4) 徐々に訓練のレベルを上げる
5) この結果、達人に必要な累積鍛錬量を満たす

このように、常にできないことをやり続けるのは精神的にとても辛いので、結果、多くの人は累積鍛錬量を達成することができない。これは、達人の人数が少ないこととも一貫している。
詳しくは私の翻訳した書籍をお読みいただきたいが、バイオリニストからチェスのプレイヤー、コメディアンに至るまで、世界的な達人者はいずれの分野においてもこうした意図的訓練を通じ、求められる累積鍛錬量の条件を満たしている。

3. 常にラーニング・ゾーンにいることの難しさ

ソクラテスが学びの本質を無知の知と指摘したように、自分自身がどこが分かっていないのかを知り、分かるようになるまで繰り返すことが必要だ。学びはレベルを上げていかない限り、顧客が求める高いレベルに達することができない。学びには3つの難易度のサークルがあると言われている。できることをやっているコンフォート・ゾーン、なんとかコーチの手を借りながら限界に挑戦するラーニング・ゾーン、怪我をしてしまうパニック・ゾーンの3つである。コンフォート・ゾーンで練習をし続ける限り、あなたの能力は昨日から伸びることはない。パニック・ゾーンで訓練をすれば、肉体的に怪我をするか精神的な活動であれば自分に自信を失い鬱状態に陥る。ラーニング・ゾーンで適切な指導者による助言を得ながらできないことを繰り返し、能力を開発することが重要となる。

鍛錬を続けると、かつてのラーニング・ゾーンはあなたの能力の向上と共にコンフォート・ゾーンに変わり、一方かつてのパニック・ゾーンはあなたのラーニング・ゾーンに落ちてくる。だからこそ、客観的にあなたの能力の変化を見極めるコーチやメンターの存在が重要となる。常にラーニング・ゾーンにいるということを自分自身で確認できる人間は稀だ。あなたにはロールモデルやメンターになるような人がいるだろうか。それは直接会うことができなくても、書籍を通じ私淑するのでも構わない。
私自身のロールモデルは、早稲田の先輩でもあり、日本の証券アナリストの草分けで、約50年に渡りフィデリティ・ジャパンの経営を担ってこられた蔵元康雄さんだ。80歳を過ぎた今でもフィデリティ・ジャパン・ホールディングスの取締役副会長を務め、生涯現役を貫いておられる蔵元さんは私が目指す職業人の理想的な生き方だ。好奇心に溢れ、常に若い世代の育成に力を注がれているからこそ、輝いた人生を享受しておられる。蔵元さんがいることで、私も80歳を超えて活躍できる生涯現役の学びを続けたいと考えている。

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