1000万円を預金で置いておくのと、運用するのとではどちらがおすすめでしょうか。
実は預金が1000万円を超えると、銀行に寝かせておくこと自体がリスクとなってしまう可能性があります。
1,000万円の貯金があれば、安心して老後の生活を送る事ができるのでしょうか?
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査」を確認すると、「年金支給時に最低準備しておく金融資産残高」を尋ねる項目があります。
20代から60代の世代で、年金支給時に最低準備しておく金融資産残高は2,000万円以上という結果になっています。
つまり、現在、1,000万円の預貯金があったとしても、老後資金としては全く足りないということになります。そこで、1000万円を元手とした資産運用をして、残りの1,000万円を補う必要があります。
参考までに、資産を2倍にするのに必要な期間を求める「72の法則」を紹介します。
72の法則とは、運用の複利効果により元本を2倍にする際に必要な期間を求めるための計算方法です。以下の計算式で必要な期間を求めることができます。
72÷金利(%)=資産が2倍になるまでの期間(年数)
仮に、年間の運用利回り4%で資産運用をした場合、18年後に元本が2倍になります。
ちなみに、ある大手銀行の普通預金の金利0.001%で計算してみると、次のような結果になります。
金利が0.001%の場合、元本を2倍にするには約72,000年もかかってしまいます。つまり、大手銀行の普通預金の金利で、元本を2倍にする事は、事実上不可能ということです。そこで、1,000万円を元手に効率的に資産運用する事が必要になってきます。
- より高い利回りが狙えるから
1,000万円の資金で資産運用をすると、銀行に貯金をするよりも高い利回りを狙えます。低金利時代の普通預金の金利は0.001%なので、1,000万円を銀行に貯金した場合の1年間の利息は100円です。資産運用をすることで、より大きな利回りを目指す事ができます。
- 複利効果が狙えるから
効率的に資産を増やすためには、10年以上の長期投資で複利効果を狙うことが大切です。長期投資をすると複利効果の恩恵をより大きく受けられます。運用による利益が出た場合でも途中でお金を引き出さずに、利益を元本に組み込んで運用を続けることがとても大切です。
- 余剰資金で資産運用を開始できるから
1,000万円の貯金があると余剰資金が生まれるので、余剰資金で資産運用ができます。余剰資金とは、手持ちの資金から生活資金や万事に備えた資金を差し引いたもので、当面使う予定がない余剰の資金のことを意味します。
ペイオフとは…銀行などの金融機関が破綻しても、預けた預金の元本1000万円とその利息が戻ってくる預金保険制度。
ペイオフにより預けた元本1000万円とその利息までは戻ってきます。
しかし逆に言うと、1000万円以上の金額を銀行に預けていた場合、破綻後の銀行の状況によっては戻ってこない可能性があるのです。
ペイオフは1つの銀行で一人当たり元本1000万円+利息まで。ですので1000万円貯めたら、預け先は複数の銀行に分けた方が安全です。
1000万円を運用せずそのまま長い間、置いておくとインフレリスクにさらされます。
インフレリスク…物価の上昇に伴ってお金の価値が目減りしてしまうこと。
例えば今、1000万円で有名メーカーの高級外車が買えるとします。物価が上がって、10年後にこの外車が1200万円に値上がりしたとすると、買えなくなってしまいます。つまり同じ1000万円という金額でも、現在と将来では価値が違ってくるリスクがあるのです。
日本は物価安定の目標として2%のインフレ率を掲げています。貯金、現金でお金を持っておくことは、インフレリスクには弱いと言われています。
1000万円を運用しようと思ったときに、まとめて一括で投資するのはNGです。
一度に特定の商品に集中投資してしまうと、持っている間もずっとその商品のマーケット情勢に依存することになってしまいます。
例えばA社の株式に一括投資したとしましょう。伸びているときは良いですが、ひとたび業績が悪化して株価が下落してしまうとたちまち大損を被ってしまいます。
このような一括投資のリスクを防ぐためにも、投資の基本は「分散投資」と言われています。
現在、大手都市銀行の普通預金金利は0.001%。1000万円を貯金していても、微々たる利息しか得られません。具体的な金額を見てみましょう。
自分にとって最適な
1000万円の運用方法を知りたい方へ
大手都市銀行の普通預金に現在の金利(0.001%)で預け続けると、次のとおりになります。
1000万円を預金し続けた場合の合計金額(金利0.001%、複利)
年数 |
合計(元本+利息) |
1年目 |
1000万100円 |
5年目 |
1000万500円 |
10年目 |
1000万1000円 |
20年目 |
1000万2000円 |
30年目 |
1000万3000円 |
1000万円を30年間、銀行に寝かせておいても利息は3000円にしかなりません。
その間インフレが進めば、実質的には資産が目減りしてしまいます。そこで運用して「お金に働いてもらう」のがおすすめです。
運用して1000万円の元手を2000万円に増やすのに必要な年数と利回りをみてみましょう。
1000万円を2000万円にするのに必要な年数&想定利回り(複利)
2000万円になるまでにかかる年数 |
必要な想定利回り |
8年 |
10% |
9年 |
9% |
10年 |
8% |
11年 |
7% |
12年 |
6% |
15年 |
5% |
18年 |
4% |
24年 |
3% |
35年 |
2% |
70年 |
1% |
1000万円から2000万円にするのに、10年なら8%、15年なら5%、35年なら2%の利回り(年率)が必要です。
このうち、2%で35年、5%で15年なら実現が可能そうではないでしょうか。この利回りが見込めそうな運用方法があれば知りたいですよね。
データによると、2%の平均利回りを達成している運用方法が国内株式、5%の平均利回りを達成しているのが投資信託です。
想定利回り別おすすめ運用方法
- 2%の平均利回り…国内株式
- 5%の平均利回り…投資信託
下表から、東証上場企業の株式平均利回りは約2%と分かります。
東証上場企業の株式平均利回り
東証一部 |
有配会社 平均利回り※ |
1.79% |
加重 平均利回り |
1.84% |
東証二部 |
有配会社 平均利回り |
2.05% |
加重 平均利回り |
1.62% |
- ※有配会社平均利回り…配当がある会社の平均利回りのこと。
この東証上場株式の平均利回り2%で、1000万円を運用するシミュレーションを見てみましょう。
【東証上場株式平均利回り2%】1000万円運用の利益シミュレーション
年数 |
合計(元本+利益) |
うち利益部分 |
1年目 |
1020万円 |
20万円 |
3年目 |
1061万円 |
61万円 |
5年目 |
1104万円 |
104万円 |
10年目 |
1218万円 |
218万円 |
20年目 |
1485万円 |
485万円 |
30年目 |
1811万円 |
811万円 |
1000万円を想定利回り2%で運用…
- 5年で1104万円
- 10年で1218万円
- 30年で1811万円 に!
もちろん株式投資ですので元本保証はなく、損する可能性もあります。
株式市場は変動しますのであくまで参考値ですが、預金よりは高いリターンが望めるチャンスがあります。
株式市場の平均的な利回りを狙って資産運用をしたい方は、国内株式に投資するインデックスファンドの投資信託から始めてみるのもおすすめです。
国内株式市場の平均的な利回りが欲しい…
国内株式インディックス型の投資信託がおすすめ
株式投資も含めて、おすすめの運用方法や商品を知りたい方は、資産運用の専門家にアドバイスをもらうことも検討されてはいかがでしょうか。
ご自身のリスク許容度やポートフォリオから最も適切な提案を個別にしてもらえます。
投資信託の平均利回りについては金融庁の資料が参考になります。
国内外の株式、債券に積立・分散投資した場合、20年間の長期保有では2~8%の投資収益率となりました。
注意点はあくまで20年間の長期保有という前提です。これが5年間の短期保有では元本割れのケースもありました。
そこで20年間の長期保有で2~8%の投資収益率から間を取って平均を5%とし、国内外の株式・債券への積立・分散投資を投資信託と考えると、投資信託の平均利回り5%で1000万円を運用するシミュレーションは次のとおりです。
【投資信託平均利回り5%】1000万円運用の利益シミュレーション
年数 |
合計(元本+利益) |
うち 利益部分 |
1年目 |
1050万円 |
50万円 |
3年目 |
1157万円 |
157万円 |
5年目 |
1276万円 |
276万円 |
10年目 |
1628万円 |
628万円 |
20年目 |
2653万円 |
1653万円 |
30年目 |
4321万円 |
3321万円 |
1000万円を想定利回り5%で運用…
- 5年で1276万円
- 10年で1628万円
- 30年で4321万円 に!
投資信託も元本保証のない商品であり、上表も過去の実績ですので将来を保証するものではありません。
しかし、世界経済は良い時、悪い時を繰り返しながらも継続的に成長していくと考えると、長期保有は投資において非常に大切な視点です。
「分散投資」に加え、「積立投資」「長期投資」も投資の基本です。
1000万円の運用時に注意すべきなのがリスクとリターンについてです。
運用方法やマーケット情勢によっても変わってきますし、ご自身がどれだけリスクを取れるかというリスク許容度も重要です。
主な運用商品のリスク・リターンの関係性を見てみましょう。
一般的にリスク・リターンともに、預貯金→債券→投資信託→株式の順で高くなっていく関係にあります。
資産運用で大事なのは、ご自身のリスク許容度に合った適度なリスク・リターンの商品を選択することです。
1000万円の運用におすすめの方法をリスク・リターンの目安別に紹介します。
全額を1つに集中投資しないで、各方法のメリット・デメリットを考え分散投資をすることがリスクを抑えます。
債券には、身近な個人向け国債のほか地方債、外国債、社債などもあります。
個人向け国債の メリット ◎ |
個人向け国債の デメリット × |
- 最低投資額が低い(1万円~購入可)
- 預金より高金利(最低保証:0.05%)
- 満期時には元本(額面金額)が戻ってくる
|
- 現状は最低金利にとどまる(最低保証:0.05%)
- 1年間は原則解約できない
|
【1000万円運用】個人向け国債の配分
- 個人向け国債だけでは高いリターンは見込めない
- 預金に近いポジションとして、安定保有のために活用
- 配分は個人のリスク許容度による
保険の中には、運用もできて貯蓄代わりにもなる商品(貯蓄性保険)もあります。
具体的には終身保険、養老保険、学資保険、個人年金保険などの保障と貯蓄を兼ね備えた商品です。
貯蓄性保険の メリット ◎ |
貯蓄性保険の デメリット × |
- 保障と運用・貯蓄が同時に可能
- 満期保険金や解約返戻金が受け取れる
- 保険料の所得控除で節税可能(限度額あり)
|
- 保障のみの保険(掛け捨て型)と比べ保険料が高い
- 早期に解約すると元本割れすることがある
|
【1000万円運用】保険の配分
- 保障は保険、貯蓄は預金、運用は投資信託など、分けた方がトータルコスト的にメリット
- 配分は必ずしも必要ではないが、節税や相続対策での保有ならあり
投資信託とは、投資家から集めたお金をまとめて運用の専門家が株式や債券などに投資する仕組みの商品です。
投資信託の メリット ◎ |
投資信託の デメリット × |
- 株式や債券など多様な資産に投資できる
- 専門家が銘柄を選んで運用してくれる
- 少額から投資可能(100円~)
- 元本保証はないが分散投資でリスク軽減
|
- 手数料がかかる(販売手数料、信託報酬など)
- 運用結果次第で元本割れする可能性がある
|
【1000万円運用】投資信託の配分
- 運用はプロ任せ&分散投資でリスク軽減、主要な運用手法としておすすめ
- 1000万円運用時の配分の核と考えて◎
ETF(上場投資信託、Exchange Traded Funds)は投資信託の一種です。
ETFのメリット ◎ |
ETFのデメリット × |
- インデックス(指数)に連動するためパフォーマンスが分かりやすい
- 上場しており取引価格が分かりやすく(市場時価)、売買しやすい
|
- 証券会社でしか買えない(銀行、郵便局では取り扱いなし)
- 銘柄数が少ない(約250)
- 売買手数料、信託報酬がかかる
|
【1000万円運用】ETFの配分
- 投資信託と比べかつてはコスト的に優位だったが、最近はあまり変わらない
- 1000万円運用時に投資するかはお好みで
株式とは企業が資金調達のために発行する有価証券です。
株式のメリット ◎ |
株式のデメリット × |
- 値上がり益が狙える
- 配当金や株主優待が期待できる
- 取引価格が分かりやすい(市場時価)
|
- どの銘柄に投資するか目利きが必要
- 値動きが激しい
- 売買手数料がかかる
- 企業が倒産するとお金が戻らない
|
【1000万円運用】株式の配分
- 銘柄が選べるなら積極的なリターンを目指して投資もあり
- 相場チェックや情報収集が手間なら株式に投資できる投資信託で保有しても
不動産投資とはアパートやマンションを経営して家賃収入を得ること。
そのほか共同で物件オーナーになる不動産小口化商品や、不動産投資信託のREIT(リート)で少額から投資できる商品もあります。
不動産投資の メリット ◎ |
不動産投資の デメリット × |
- 家賃収入が得られる
- 節税効果が見込める
- REIT(不動産投資信託)なら少額から投資可能
|
- アパート・マンション経営は投資額が大きい
- 空室リスクによる家賃収入減
- 儲かる物件選びには知識や情報が必要
- 小口化商品は目利きが難しい
- 元本保証・賃料保証はない
|
【1000万円運用】不動産投資の配分
- アパート・マンション経営には1000万円では足りない
- 最低投資額の低いREIT(不動産投資信託)がおすすめ
FX(外国為替証拠金取引、Foreign Exchange)とは為替レートの変動を利用して外貨を売買し、その差益を得る投資手法です。
FXのメリット ◎ |
FXのデメリット × |
- 少ない資金で多額の投資が可能(最大25倍のレバレッジ効果)
- 24時間取引できる
|
- 値動きが激しく、大損する可能性がある
- 追証という追加資金が必要になることがある
- 損失が水準を超えるとロスカット(損切)で強制決済となることも
|
【1000万円運用】FXの配分
- 少ない元手で大きな利益を狙える分、損失の危険性も大きい
- 値動きが激しく安定投資に向かないので持つ必要はない
ヘッジファンドとは、大口投資家などを対象にした高利回りを狙う投資ファンドのこと。
ヘッジファンドの メリット ◎ |
ヘッジファンドの デメリット × |
- 市場よりも高い収益を追求
- 運用のプロに自由度の高い戦略で任せられる
|
- 基本的に一般投資家への募集はない
- 投資額が大きい(数千万円~)
- 情報が少ない
|
【1000万円運用】ヘッジファンドの配分
- 1000万円では最低投資額に満たない
- プロ向けで市場には出回らない。ヘッジファンドを騙る詐欺もあるので注意
では1000万円を分散投資するのに最適な組み合わせは、どう選べばよいのでしょうか。
人それぞれ保有する金融資産や運用の目的は違います。そのためリスク許容度や将来設計に合わせて運用方法を決め、最適な商品を選ぶ必要があります。
ご自身に適した運用が分からない方は、資産運用のプロにアドバイスを求めるのもおすすめです。中立的な立場から資産運用をサポートする専門家にIFA(Independent Financial Advisor、独立系ファイナンシャルアドバイザー)があります。
暗号資産(仮想通貨)とは、電子データでやりとりされる通貨であり、法定通貨のように国家による強制通用力を持たず、主にインターネット上での取引などに用いられるデジタル通貨(digital currency)のことです。
代表的な通貨には、ビットコイン、イーサリアムなどがあります。暗号資産投資は、大きな利益を狙えるため、最近注目されている投資先です。今後、仮想通貨市場のさらなる成長も期待されています。しかし、市場が未成熟なために、Mt.GOX事件やCoincheck事件など様々な事件が起こり、その都度、被害を被る投資家が続出しているのも事実です。メリットとデメリットを見比べた上で慎重に判断する必要があります。
暗号資産(仮想通貨)の メリット ◎ |
暗号資産(仮想通貨)の デメリット × |
- 大きな利益を得られる
- 資産を分散できる
- 仮想通貨市場が拡大していく可能性がある
|
- 価格変動が大きい
- 仮想通貨自体の価値がゼロになる可能性がある
- 詐欺被害に遭うリスクがある
- ハッキング被害の事例が多数ある
|
1000万円を投資するなら、できるだけお得に始めたいですよね。
ところが資産運用で儲けた利益には通常20.315%が課税され、手元に残る金額は減ってしまいます。
しかしその税金が掛からない投資の制度にNISA、つみたてNISA、iDeCo(イデコ)があります。ぜひ活用しましょう。
NISAとは、国が創設した個人投資家のための少額投資非課税制度。株式や投資信託、ETFなどにお得に投資できます。
NISAの注意点
- 一人1口座のみしか開設できない
- つみたてNISAとの併用はできない
- 非課税期間は最長5年間
【1000万円運用】NISAのおすすめ配分は?
- 非課税限度額をフル活用する配分がおすすめ
- 年間120万円×5年間=600万円分を非課税で運用
つみたてNISAとは、国が創設した長期積み立てに適した少額投資非課税制度。主に投資信託の積立で最大20年間の長期投資ができます。
つみたてNISAの注意点
- 一人1口座のみしか開設できない
- NISAとの併用はできない
【1000万円運用】NISAのおすすめ配分は?
- 非課税限度額をフル活用する配分がおすすめ
- 年間40万円×20年間=800万円分を非課税で運用
iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)とは老後資金を準備するための私的年金制度。
国が作った制度で、積立をしながら節税メリットを受けられるのが特徴です。投資信託、定期預金、保険商品の積立で将来の年金を準備できます。
イデコの注意点
- 60歳になるまで引き出せない
- 運用成績によっては元本割れの可能性がある
【1000万円運用】イデコのおすすめ配分は?
- 非課税限度額をフル活用する配分がおすすめ
- 職業(公的年金の加入区分)により非課税になる投資枠の金額が違うので注意
- 例えば自営業なら年間81.6万円分を60歳まで非課税で運用できる
NISAやつみたてNISA、イデコの他、保険についても所得控除枠の活用など、資産運用を始めるならお得に利用できる制度を知りたいですよね。
節税制度の効果的な使い方については、個人の状況によって変わってきます。ご自身の具体的なシミュレーションが知りたいなら、資産運用の専門家に相談してみるのもおすすめです。
ポートフォリオとは、現金、預金、株式、債券などの金融商品の資産構成の事です。最適なポートフォリオは、お客さまによって異なりますが、1000万円の運用を考える際に参考となるポートフォリオについて、具体事例を交えながら解説します。
資産運用をお考えのお客様にとって、理想のポートフォリオを考えてみましょう。長期的な分散投資で運用する場合、GPIFの「基本ポートフォリオ」がとてもに参考になります。
GPIFとは、年金積立金管理運用独立行政法人の略称であり、世界最大の年金基金です。日本の公的年金のうち、厚生年金と国民年金の積立金の運用を行っています。GPIFは長期的な分散投資を基本方針として運用を行い、安定的な収益獲得を目指しています。そのため、GPIFのポートフォリオは長期的分散投資で収益獲得を目指すお客様にとっては、とても参考となります。
2020年4月1日より適用された「基本ポートフォリオ」は以下です。国内債券、外国債券、国内株式、外国株式の4つの資産に均等に配分されています。(GPIF-基本ポートフォリオの変更について)こちらのポートフォリオを基本として、お客さまの目標や状況に応じてポートフィリオを調整する事が大切です。
資産 |
構成割合 |
国内債権 |
25% |
外国債券 |
25% |
国内株式 |
25% |
外国株式 |
25% |
合計 |
100% |
ポートフォリオ(商品の組み合わせ)とは、具体的な運用商品の配分割合のことです。
例えば投資信託なら、下記の例のように具体的な商品名と投資割合を当てはめたものです。
例えば投資信託のポートフォリオなら…
- eMAXIS Slim先進国株式インデックス(外国株式)25%
- ニッセイ日経225インデックスファンド(国内株式)25%
- 楽天・全世界債券インデックス(為替ヘッジ)ファンド(外国債券)25%
- 三井住友・日本債券インデックス・ファンド(国内債券)25%
→ 合計100%
などと、商品名と配分を当てはめたもの。
適切なポートフォリオを組むための資産配分の決め方に、年齢から考える方法があります。
一般的には、年齢が若いほど株式で積極的なリスク・リターンを求め資産の増加を狙います。
その後シニアに近づくほど債券の割合を高め、ローリスク・ローリターンの安定投資を目指していくのが失敗を防ぐセオリーです。
続いて年代別におすすめの投資信託の配分例を見ていきましょう。
20代、30代は継続して運用できる期間が長く見込める年代ですので、比較的値動きの大きい株式への配分を厚くして運用しましょう。
積極的に運用したい方は、株式の中でも外国株式の比率を上げましょう。具体的には先進国(アメリカ、イギリス、フランスなど)、新興国(ブラジル、ロシア、インド、中国)などです。
安定的に運用したい方は、株式の中でも成長余地が大きい分、不安定な新興国は控える、あるいは比率を落としてその分、国内株式を厚くするなどしても良いでしょう。
住宅ローンや子どもの教育資金など物入りな時期でも、積立投資で複利効果を受けながら運用を続けるのがおすすめです。
子育て世帯の方は、20代・30代独身の時期より株式比率を下げ、その分債券比率を上げて徐々に守りのスタンスを強めていくのが一般的です。
銘柄選びが面倒な人は、株式・債券両方が組み込まれたバランス型ファンドを選択しても良いでしょう。
徐々に投資期間が短くなっていくので、なるべくリスクを抑えた守りの運用にシフトチェンジしていきましょう。
50代・60代シニア世代の方は、年金生活が近づくにつれ株式の比率を下げて債券の比率を上げていきましょう。
より安定を求めるには、為替の影響を受けない国内債券の比率を厚くすべきですが、低金利の現在、従来よりもリターンが見込みづらいのがネックです。
守りの運用ながらリターンも狙っていくには、出口戦略に向け配分を調整していく必要があります。非常に重要な段階ですので信頼できる相談先を見つけておくと安心です。
おすすめの資産配分が分かったところで、ポートフォリオに組み込む商品は何がいいのでしょうか。具体的な銘柄が知りたいですよね。
最適なポートフォリオは人によって違いますので、興味のある方は一度、資産運用の専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
資産運用の相談先というと、多くの人がまず銀行や証券会社を思い浮かべるでしょう。
しかし近年、IFA(Independent Financial Advisor)という資産運用アドバイスの専門家を利用する人が増えてきています。
銀行や証券会社とIFAの違いは、それら既存の金融機関から独立した中立の立場におり、真に顧客の側に立った金融アドバイスが行える点にあります。
IFAはアメリカをはじめ世界中で資産運用の相談先として一般的な存在で、日本では15年ほど前から普及し始めました。
IFA(Independent Financial Advisor)とは?
- 独立系ファイナンシャルアドバイザーという資産運用の提案、助言を行う専門家
- 特定の金融機関に所属していないため、中立の立場からアドバイス
- 顧客ごとの個別カウンセリングで、その人に合った提案を受けられる
- 金融商品の販売資格を持つため投資信託や株式、債券など幅広い提案から販売までが可能
- 銀行や証券会社と並ぶ資産運用の専門家として存在感が増している
- アメリカでは医師や弁護士と並ぶほど社会的地位が高く、人生に欠かせない専門家
IFAの多くは大手証券会社や銀行に勤めて経験を積んだのち、「本当にお客さまのためになる資産運用を提案したい」と独立した人たちです。
資産運用の初心者の方だけでなく、銀行や証券会社での運用がうまくいかなかったセカンドオピニオンの方なども利用しています。
銀行、証券会社とIFAの違いは次のとおりです。
銀行、証券会社、IFAの違い(営業面)
|
銀行
|
証券会社
|
IFA
|
①販売スタンス |
自社系列の商品提案を優先することも |
顧客の立場に立った商品提案 |
②サポート体制 |
担当者の異動・転勤で交代あり |
担当者の交代なし |
③営業時間 |
平日の日中営業時間内(※一部、土日対応あり) |
フレキシブルに対応 |
おすすめ度 |
△ |
△ |
〇 |
大手の銀行や証券会社には、投資信託などの金融商品を組成・運用する系列会社があるため、どうしても自社系列の商品をおすすめされる傾向があります。
たとえその商品が顧客のポートフォリオやリスク性向に合っていなくても、「社としての販売注力期間だから」「営業ノルマのために」とすすめられることも。
そんな銀行や証券会社の販売姿勢に困惑して投資をやめてしまったり、あるいはセカンドオピニオンとしてIFAに相談する人も少なくありません。
IFAは特定の金融機関の傘下にないため、本当にその人に合った商品を提案できる強みがあります。
銀行や証券会社は定期的に異動や転勤があり、担当者は2、3年など短期で入れ替わります。そのため専任の担当者が長期的に運用を支援するのは残念ながら難しいと言えます。
一方、IFAは異動も転勤もないため、長いスパンで資産運用をナビゲートする伴走者として期待できます。
ライフステージに応じて老後資金や不動産などさまざまな悩みが生じますが、個別に相談でき、定期的なフォローがあるのがIFAです。
銀行や証券会社は平日昼間が主流ですので、仕事や家庭の事情などで都合が付けられないこともあるでしょう。IFAは夜間や休日など、相談時間もフレキシブルに対応できるところがほとんどです。
銀行・証券会社とIFAでは取扱う商品にも違いがあります。
投資信託、債券、保険は銀行、証券会社、IFAとも取り扱いがありますが、商品のラインアップは企業ごとに違います。
なお株式は銀行では取り扱いがないので、株式投資を行いたい人は証券会社やIFAがおすすめです。
投資信託を例に比較すると、銀行は少なめです。
一方、証券会社やIFAは豊富ですが、企業によって取扱数はさまざま。同じ証券会社でも、対面の証券会社とネット証券では、ネット証券の方が商品数は多い傾向です。
なおIFAは、証券会社と提携して投資信託をそろえています。中でも取扱数の多いSBI証券や楽天証券などと提携するIFAでは数千本から選ぶことが可能です。
費用についても投資信託を例にすると、銀行・証券会社とIFAではあまり差はありません。
対面窓口がないネット証券では購入時手数料が無料の商品(ノーロード)も多く、担当者による提案やサポートがある銀行・証券会社とは購入時手数料に違いがあります。
その点は提案やサポートの対価であり、相談できることの付加価値と言えます。なお銀行、証券会社、IFAでもノーロード商品はあります。
また投資信託の費用には、保有中ずっとかかる手数料(信託報酬)もあります。信託報酬はどの金融機関で購入しても変わりません。
1000万円の運用について、大きな金額ですから失敗はしたくないのが誰しもの思いです。
相談先として、銀行、証券会社とIFAを比較すると、次のようになります。
銀行、証券会社、IFAの比較
|
銀行
|
証券会社
|
IFA
|
①営業面・販売面でのおすすめ度 |
△ |
△ |
〇 |
先述のとおりIFAは証券会社と提携はしていますが、直接の傘下にはないので顧客の立場に立った提案が可能です。
細かなヒアリングでニーズをくみ取り、ライフステージごとのお金の悩みを継続的にサポート。最適な運用方法の提案で安心できる資産運用をバックアップしていきます。
そのイメージは、資産運用の“伴走者”。投資のさまざまな疑問や不安をともに考え、解決に導く信頼できるサポーターとして有力な味方となりえます。
このようなIFAですが、どの企業を選んでも同じでしょうか。
IFAは全国に900社ほどもあり、その中からご自身に最適なところを探すことは至難の業です。
一口にIFAと言っても、その企業姿勢や取扱う商品の内容、得意とする運用スタイルや顧客年代層などは、千差万別と言えるほど個性が違います。
ご自身の運用の希望に合ったIFAを探したい方は、ネット上で簡単な質問に答えるだけで完結できる資産運用の無料相談窓口を活用してみてはいかがでしょうか。